NV窒化は他の窒化処理と何が違う?
更新日:2022/9/16
投稿者:西野
こんにちは。エア・ウォーターNV㈱です。
金属表面処理である窒化は多くの処理法が開発され、広い範囲で採用されています。
その中で「NV窒化」はどのような特長を持ち、
他の窒化処理とどのような点が異なるのか簡単にご説明いたします。
弊社独自技術の金属表面硬化処理「NV窒化」
弊社は高度なガス技術を元に独自の金属表面処理の技術「NV窒化」を開発しました。
NV窒化とは
NV窒化は、フッ素によるガス活性化処理と ガス窒化処理(ガス軟窒化処理)を組み合わせた独自の窒化プロセスです。
そもそも窒化とは
窒化とは、金属表面処理(表面熱処理)の一つで、窒素を金属表面から浸透させることによって金属表面に硬い層を形成します。
窒化の目的は滑り動く機械部品等の摩耗や金属疲労への耐性を高めることです。
代表的な窒化方法
ガス窒化:1923年に開発された方法で、アンモニアガスの中で加熱します。
塩浴窒化:迅速窒化を目的として開発された方法で、シアン塩(NaCN、KCNOなど)を主体とした塩浴中で加熱します。
イオン窒化:窒素(N₂)と水素(H₂)の混合気体に数百ボルトの電圧をかけてイオンを生成します。
イオンを処理物に高速でぶつけることで窒化します。
従来の窒化処理との比較
適用可能鋼種
ガス窒化が使用できる鋼種は炭素鋼、合金鋼と限られています。
塩浴窒化と塩浴窒化はステンレスや鋳鉄にも適用可能です。
NV窒化では従来の窒化法では不可能だったニッケル基合金の量産窒化処理が可能になりました。
従来の方法でニッケル基合金の窒化が難しかった要因は、
ニッケル基合金の表面には非常に強固な酸化皮膜が形成されていることにありました。
通常の窒化処理ではその酸化皮膜を分解できず、内部への窒素の拡散ができませんでした。
NV窒化ではガス活性化処理によって強固な酸化皮膜を分解できるため、ニッケル基合金の窒化が可能となったのです。
環境への負担
塩浴窒化は毒性のあるシアン化合物を使用するので、環境へ影響を与える可能性があります。
イオン窒化は窒素ガスや水素ガスを使用するので環境への影響はほとんどありません。
NV窒化では環境に配慮した工程になっています。
低温処理
ガス窒化の処理温度は通常500℃以上です。
イオン窒化ではより低温(400℃程度)での処理が可能です。
NV窒化では300℃後半での低温処理から600℃までの広い温度域での処理が実施できます。
窒化性能・窒化制御
従来の窒化処理では、高温で処理するため窒化処理後に面荒れや歪みが発生します。
また、塩浴窒化では多孔質層(ポーラス層)が発生することがあります。
NV窒化では、雰囲気の窒化力を細かくコントロール可能です。
処理温度や投入する各種ガス濃度及びガス量を調整し、製品表面から浸入させる窒素原子の濃度を変えることで、
窒化層の厚さや硬度を最適化できます。
また、低温窒化による面荒れや歪みを極小化も可能です。
生産性(コスト)
ガス窒化は量産性に優れ内製化可能なので、低コストです。
塩浴窒化は内製化に難があります。
イオン窒化は量産性に難がありコスト高になります。
NV窒化はガス窒化と同様、量産性に優れ内製化可能であり低コストです。
【まとめ】
従来工法の欠点を全て克服した画期的な窒化量産プロセス「NV窒化」
従来工法の欠点を払拭し、幅広い鋼種に適用可能、環境負荷が少なく、低コストのプロセスがNV窒化です。
表面活性化処理とガス窒化を組合せ、強力な窒化力とコントロール技術により、ハイパフォーマンスな窒化層を生成します。
また、低温処理も可能で、幅広い温度での処理に対応できます。
エア・ウォーターNV㈱では、お客様の要望(要求仕様、受注量など)に合わせて技術スタッフが最適な処理条件を設計致します。
まずはお気軽にお問い合わせください。専門スタッフが丁寧に対応致します。
エア・ウォーターNV㈱では皆様にお役に立てる情報を今後も発信していきます。
引き続きよろしくお願い申し上げます。
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