硬さと表面粗さについて解説します。また、弊社検査事業をご紹介します。

投稿日:2022/11/14

投稿者:西野

こんにちは。エア・ウォーターNV㈱です。

製品の品質を管理するには製品の特性を適切な方法で検査する必要があります。

この記事では製品のスペックとして重要な「硬さ」と「表面粗さ」について解説します。

あわせて、弊社の検査事業についても紹介いたします。

金属の硬さとは

硬さとは

私たちは日常生活で硬いとか軟らかいということを感覚的に把握しています。

例えば、金属の中でも鉄は硬い部類に入りますが、アルミニウムは鉄よりも軟らかいことが知られています。

しかし、科学技術が進んだ現代でも硬さとは何かという学術的な定義は決まっていません。

実は「硬さ」の本質を一言で言い表すのはとても難しいのです。

なぜ、硬さを定義するのが難しいのでしょうか?

その原因は、「硬さ」という概念は物質が持ついろいろな性質が複合したものだからです。

例えば、引っ張り強さ、粘り強さ、脆さ、展延性、耐摩耗性などの諸々の性質を含んでいます。

それでも何とか表現できないかということで、多くの研究者が頭を絞った結果、次のような定性的な定義が考え出されました。

『ある物体の硬さとは、他の物体によって変形を加えられようとしたとき、それに抵抗する力の大きさの程度を示す尺度である。』

実際にはこんな抽象的な定義では硬さを測定することはできません。

変形を加える側の物体(圧子)の材質や形や大きさ、押し込む力の大きさなどの条件が異なれば、結果も変わってしまいます。

やむなく、用途や目的に応じて特定の材料に対する硬さを測定できるような試験機が開発され使われてきました。

したがって硬さの計測方法には多種の方法があり、それぞれ特徴があります。

色々な硬さの計測方法

具体的な硬さの計測方法について例を挙げて説明します。

【ビッカース硬さ試験/マイクロビッカース硬さ試験】

「ビッカース」というのは会社の名前です。

ビッカース社のスミス氏とスタンドランド氏によって考案されました。

ビッカース硬さはダイヤモンドの正四角錐を用い、試験面にくぼみをつけた時の荷重の大きさとくぼみの表面積の比から定義されます。

圧子にダイヤモンドを使っているので、硬い材料でも測ることができます。

また、非常に薄い金属板や浸炭層、窒化層の硬さ分布の測定ができます。

マイクロビッカース試験は圧子を押し付ける力を弱くして、より詳細に断面の硬さの分布を測定できるようにしたものです。

ビッカース硬さの単位(硬さ記号)は「HV」です。

【ロックウェル硬さ試験】

アメリカのロックウェル氏が考案した硬さ試験法です。荷重をかけた時に発生するくぼみの深さによって硬さを求めます。

この試験法の考え方はビッカース硬さ試験と同じく押し込み硬さですが、荷重をかけた状態でゲージによって押し込み深さが読み取れる仕組みによって測定を効率化しています。

ロックウェル硬さの単位は「HR」です。

ロックウェル硬さ試験のうち、硬い金属に用いるCスケール鋼球を使ったときの単位が「HRC」です。

硬度換算表

硬さを測定する方法には複数の方法があり、それぞれ独立した基準で硬さの値を決めています。

そのため、求めている硬度の単位と異なる試験法で計測された場合は分かりにくくなることもあります。

このようなときには硬度換算表を使用すれば異なる単位での硬さを確認できます。

この記事の末尾にSAE(米国自動車技術者協会)によって作成された硬度換算表を掲載しました。

硬さから何がわかるか

それでは、硬さを測ることで、どのようなことに役立つのでしょうか?

現在では硬さと他の機械的性質の関係が明らかになっています。硬さがわかればそれを足掛かりにして他の性質を知ることができるのです。

【材料の強さがわかる】

金属材料の機械的性質の中で硬さと強さは密接な関係があります。

そのため、実際に強さの指標として硬さを使っている例が多く見られます。

【窒化層の厚さがわかる】

金属材料の表面を窒化処理などによって硬くすると、耐疲労性や耐摩耗性が向上します。

硬さ測定で表面の硬さを測定するだけではなく、断面の硬さを測定することで窒化層の厚さを知ることができます。

表面粗さとは

表面粗さの定義

表面粗さとは、材料の表面の凹凸がどのくらいあるかを示す値です。

加工品や成形品の表面を拡大すると間隔や深さの異なる起伏があります。

この連続する起伏で大きいものを「うねり」といい微小なものを「表面粗さ」といいます。

表面粗さの計測方法

表面粗さの計測方法は「接触式」と「非接触式」に大別できます。

接触式はダイヤモンドの針で材料の表面をなぞり表面形状のデータを取得します。

従来から主流となっている計測方法で積み重ねられた技術的なノウハウが豊富です。

非接触式は光などを使って表面の形状を測定する方式です。

元となる原理の違いで共焦点方式や白色干渉方式など、多様な方法があります。

表面粗さから何がわかるか

表面粗さの違いは光沢の違いや手触りの違いとして現れます。表面粗さが大きいと、ざらざらとした感触で光は乱反射されます。

表面粗さが小さいと、つるつるしていて、鏡のように光を反射します。

製品の質感や外観品質を管理する上で表面粗さは重要な指標となります。

また、表面粗さは摩擦特性や摩耗特性などの機械的な性質にも大きく関連します。

エア・ウォーターNV㈱の検査事業の紹介

最後に、エア・ウォーターNV㈱の検査事業を紹介いたします。

金属の硬度検査

金属の硬さの計測では、対象の材質によって適する計測方法が異なってきます。

したがって、試験機器・試料調整・測定条件を適切に選定することが重要になります。

当社ではビッカース硬度、マイクロビッカース硬度やロックウェル硬度などのさまざまな計測方法に対応しており、 試料の材質や検査目的に合った評価データをご提供致します。

検査方法荷重概要
マイクロピッカーズ硬度10gf〜2000gf表面硬度及び断面硬度測定を表面5点で測定します。
ピッカーズ硬度0.03Kgf〜30Kgf硬度測定を表面5点で測定します。
ロックウェル硬度HRA HRC硬度測定を表面3点で測定します。
硬度分布各種対応断面10点と中心3点を測定します。

精密寸法測定

製品の精密寸法測定や表面粗さ測定、金属組織観察などに幅広く対応します。

計測内容種類概要
粗さ測定接触式・非接触式各種の規格への対応により、幅広い表面粗さ測定のご対応が可能です。
表面3D画像撮影マイクロスコープ表面粗さなどを立体的に観察します。
金属組織観察20倍~5000倍結晶の確認など高倍率での観察が可能です。

おわりに

金属の硬さや表面粗さについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

エア・ウォーターNV㈱では、炭素鋼、ダイス鋼など 一般鋼材をはじめ、ステンレス鋼、銅、銅合金など 様々な材質の検査に対応しております。

まずはお気軽にお問い合わせください。専門スタッフが丁寧に対応致します。

エア・ウォーターNV㈱では皆様にお役に立てる情報を今後も発信していきます。引き続きよろしくお願い申し上げます。

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※エア・ウォーターNV㈱はエア・ウォーターグループの一員です。

※硬さ換算表

下記、硬さ換算表はあくまで参考とさせてください。

Conversion Table of Hardness

■ 鋼のロックウェルC硬さに対する近似的換算値*1

以上